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幻影

ユピーがツアーの仕事に出掛け、初めてこの家で独りカナリーヌは思いがけずぐっすり眠りました。
ただ、おかしなことにカナリーヌは
何をするにも今までと同じ、いちいち海くんに声をかけます。
「海くん、お母さんおトイレ、さてお風呂に入ろう、海くんネンネしようか?」
「お母さん、海くんの姿がここにもそこにもちゃーんと見える!夕べも寝室の前でネンネしたもんね?」

昨日海くんが煙になって空に昇って行き、カサカサに焼け上がった白い骨をつまんで、しっかり「海はもうこの世にいなくなった」と胸に刻んだはずなのに。
海くんの姿が消えません・・・。

誰よりも海くんの命の果てを見据えていたのはカナリーヌなのに・・・。

8月に入ってから、海くんはなんだか食欲がないようでした。
それでもご飯は食べていたし、おやつにも目を輝かせていました。
ですから、背中の脂肪の塊を診てもらいにえのもと院長に会った時も
「ちょっと夏バテ気味ですが元気です。海で泳ぎすぎたせいか昨日から下痢です。」
と報告するカナリーヌに、「まぁ脂肪腫ですね?一応病理にだします。体重も増えてるし、大丈夫でしょう。それにしてもこの口の癌が再発しないんですよねー?」
と院長は嬉しい誤算に首をかしげてくれました。
 
ただ・・・カナリーヌはその脂肪腫の検査に嫌な予感を感じていたのです。
ですから、診察が済んで会計を待つ間に発見したお腹のほんの小さなおできを
わざわざ院長を呼び出し診てもらいました。
小さ過ぎてわかってもらえず、(うん、きっとたんなるおできだね?)と自分を納得させたのです。

その辺りから、海くんの食欲はどんどん落ちます。
まずカナリーヌのご飯をしぶしぶという様子で食べ、
やがてそれも顔をそむけるようになりました。
でも相変わらずオヤツには飛びつきます。
ですから「きっとお母さんのご飯に飽きたのかもね?」とドライフードやオヤツをあげていました。
その反面カナリーヌは(口の大手術をした夜さえご飯を食べていた海が?)と不安で仕方ありません。
夏バテだってこれまでしたことなかたったけど、やはり年のせいかしら?

その時点ではカナリーヌにはこの不安が何かわかりませんでしたが、・・・もしかしたら海くんは(こうしてボクは年をとりいつかお別れしますからね?)と
伝えているような気がしていました。

でもその反面海に行くと我さきに車から飛び降り、元気いっぱいカナリーヌと一緒に泳ぎます。
カヤックにも慣れ、のんびり舟に揺られて景色を眺めています。

その時、海くんの体の中では恐ろしい病魔がその出番を待ち構えていたのです。

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